脳梗塞brain infarction
2007年5月
元東邦大学医療センター大森病院病理 野中博子
脳の循環障害の主なものには脳出血と脳梗塞があります。ここでは最初に梗塞の基礎知識を、次いで大脳の脳梗塞について述べていきます。

第1章 梗塞の基礎的知識
  1. 梗塞の定義
     梗塞とは終動脈が閉塞してその還流組織に壊死(病的な死)が起こることで、その限局性壊死を梗塞といいます。終動脈とは他の動脈との間に吻合やバイパスのない動脈のことです。吻合があってもそれが役にたたずに機能的終動脈であれば梗塞を起こしやすくなります。脳実質を還流する動脈はこの終動脈に相当します。


  2. 梗塞の原因
     動脈閉塞の原因には血栓と塞栓があります。血栓は血液が血管内で凝固したものです。血液は通常では血管内で凝固しませんが、これは血管内腔を覆っている血管内皮細胞が抗血栓性に働いているからです。血栓形成の3条件というのがあります。血管内皮細胞の傷害、血流の変化、血液成分の変化です。血管内皮細胞傷害は高血圧、高脂血症や喫煙などで起こりやすくなります。血流の変化は動脈瘤、心筋梗塞後や心弁膜症などで血液の乱流が起こりやすくなり、静脈は血流がゆっくりで停滞を起こすことがあります。血液成分の変化は、喫煙、経口避妊薬服用や肥満等で向血栓性に作用すると言われています。
     これに対して塞栓は血流中に入った様々な異物を言い、剥離した血栓、腫瘍細胞、組織片、脂肪滴、空気、細菌塊などがあります。これらの異物が動脈などを閉塞することを塞栓症といい、この中では血栓性塞栓が最も多いです。


  3. 梗塞の肉眼所見
     この様な原因で生じた梗塞はその外観(肉眼所見)によって貧血性梗塞(白色梗塞)と出血性梗塞(赤色梗塞)に分類されます。梗塞を起こした臓器の血液供給源が単一か二重かによることが多く、典型的な貧血性梗塞は脳、心臓や腎臓などで見られます。出血性梗塞は血管の二重支配を受ける臓器で起こりやすく、肺(肺動脈と気管支動脈)、肝(肝動脈と門脈)、小腸や大腸などの腸管(多数の腸間膜動脈枝が吻合している)がその代表です。基本的にこの様な臓器では梗塞は起こりにくいのですが、梗塞部に他方の血管系からの血流が加わって出血性梗塞となることがあります。脳梗塞でも塞栓の移動や融解によって壊死部に血流が再開して出血性梗塞となることがあります。


  4. 壊死の種類
     先ほどから壊死という言葉がよく出てきますが、壊死とは組織や細胞の死(病的、非生理的な死)を意味します。壊死を起こした直後ではわからないことが多いのですが、時間の経過とともに組織の壊死が明らかになってきます。心臓や腎臓では凝固壊死に陥ります。これは組織に蛋白質が豊富なためであり壊死巣は黄白色不透明で光沢がなく、新鮮梗塞は周囲から多少膨隆します。組織学的には元の構造を残したまま核が消失しています。
     脳梗塞でも直後は周囲から膨隆します。その後、脳の構成成分のミエリンの崩壊が起こり大量の脂質が遊離するため凝固が妨げられ、元の構造は消失して融解壊死の状態に陥ります。そのため壊死部は軟化空洞を形成します。これが脳軟化症といわれる所以です。この様な軟化空洞は元通りに修復されることはありません。融解壊死は中枢神経系に生ずる特徴的所見です。


第2章 脳梗塞について
  1. 脳血管の特徴
     脳の重量(1200〜1500g)は体重の2.5%程度ですが、心拍出量の15%を供給されていると言われています。脳を循環する血液量は50〜60 ml/100 g/分で皮質は髄質(白質)に比べてやく3倍の血液量を必要としています。脳のエネルギーはグルコースの代謝によりますが、脳にはグルコースの貯蔵はなくその供給は血流にたよっているため、血流の途絶は脳に致命的な障害を与えます。
     脳に分布する動脈は左右の内頚動脈と左右の椎骨動脈の計4本で、これらは頭蓋内に入り脳底部で大脳動脈輪(Willis動脈輪)を形成します。内頚動脈からは前大脳動脈、中大脳動脈が分岐し、椎骨動脈系は左右が合流して1本の脳底動脈となり小脳や脳幹部に枝を出した後、左右の後大脳動脈に分かれます。左右の前大脳動脈はは前交通動脈で、内頚動脈と後大脳動脈は左右の後交通動脈によって吻合しここに大脳動脈輪が形成されます(図1,2)。
     大脳皮質および髄質に分布する動脈は前・中・後大脳動脈の皮質枝で、これらは脳表面を扇状に分岐上行して(図3)脳実質内に進入します。これらを大きく分けると皮質内に終わる皮質動脈、皮質下に終わる皮質下動脈、皮質にはほとんど枝を出さずに髄質内を直進して側脳室角に終わる髄質動脈があります(図4)。大脳皮質は多数の神経細胞が層状に配列して高度の機能を有しております。そのため多くの血流を必要として毛細血管に富み、皮質動脈には特殊な噴水状分枝を観察できます。これは1本の動脈が短区間に二叉状に多数の枝に分岐を繰り返した結果です。この噴水状分枝は加齢とともに巻絡しあたかも縄をなったような縄状構造を示します(図5)。これは40代より出現し始め、80代では検索したほぼ全例に認められました。一方神経線維の束である髄質では、動脈の数も少なくその分岐も大脳皮質に比較して少数で毛細血管密度は皮質の約1/3程度です。
    大脳の深部には錐体外路系の中枢である尾状核・被殻・淡蒼球などの基底核や、感覚中継核あるいは錐体外路系の核でもある視床があり、いずれも側脳室や第三脳室の両側に左右対称性に存在しています。また、基底核の間には大脳皮質からの神経線維が束をなして走行している内包という狭い場所があります。これらに分布する動脈は脳底部の動脈から直接分岐する中心枝(穿通枝)と呼ばれている動脈です。これらの部は脳梗塞などの循環障害性病変の好発部位で、主な中心枝には前大脳動脈の前内側中心枝、中大脳動脈の外側中心枝、後大脳動脈の後内側中心枝(視床穿通動脈)などがあります(図6)。
    脳の静脈は動脈と伴走はしないで独自の走行をします。主に皮質の静脈血は動脈とは逆に脳表に向かいこれらは集まって脳外の組織である硬膜の静脈洞に注ぎます。髄質や基底核など内部の血液は側脳室壁から硬膜の静脈洞に入りこれらは内頸静脈を経由して心臓に戻ります。


  2. 脳梗塞の分類(NINDS脳血管障害分類第3版による分類)
     脳梗塞の分類の分類には発生機序、臨床病型、壊死の種類、責任血管あるいは発生部位によるものなどいろいろあります。ここでは1990年の米国National Institute of Neurological Disorders and StrokeのClassification of cerebrovascular diseases III(NINDS-III)を引用します。

    1. 発生機序による分類
      1. 血栓性 (thrombotic)とは通常、脳動脈硬化により形成された血栓が原因となり貧血性梗塞(白色梗塞)を示します。

      2. 塞栓性 (embolic)とは多くの場合血栓性塞栓が原因となり、出血性梗塞を呈することがあります。

      3. 血行力学性 (hemodynamic)とは高度の動脈の狭窄や閉塞が存在するときに、ショックなどによって急激な全身血圧の低下や心拍出量の低下を来たして還流領域の末梢部に血液が不足して壊死を生じたものです。これらは前・中・後大脳動脈の皮質枝の境界生じるに境界領域(分水嶺)梗塞であり、大脳深部髄質梗塞は髄質動脈の終末領域梗塞と考えられます。心停止に由来する意識障害を起こして数日以上の経過で死亡した場合、大脳皮質には層状壊死が見られます(図7)。この発生には我々が噴水状分枝と名付けた大脳皮質の動脈が関与しているものと考えられます。


    2. 臨床的カテゴリー分類
      1. アテローム血栓性 (atherothrombotic)
         脳動脈のアテローム硬化とそこに形成された血栓による動脈内腔の狭窄・閉塞を基盤とした梗塞です。病巣は通常左右いずれかの一側性で狭窄閉塞した動脈(図8a,b)の末梢に梗塞巣が発生することが多いです。アテローム硬化は内頚動脈・中大脳動脈・脳底動脈・椎骨動脈など比較的太い動脈に多いのですが(図9)、高血圧が続いた場合では100〜400μ位の動脈枝にまでアテローム硬化がおよび内腔の狭窄・閉塞を来します。また心血管系の手術やカテーテル検査の際に、高度の動脈硬化性血管のアテローム硬化巣が破壊されアテローム内のコレステリン結晶が血中に流出して末梢の動脈を狭窄・閉塞してしまうことがあります。これはアテローム塞栓症(コレステリン塞栓症)といわれ、NIH分類ではアテローム血栓性に分類されています(図10)。この様な病態をartery-to-artery embolismといいます。

      2. 心原性塞栓性(cardioembolic)
         塞栓が脳動脈を閉塞するもので脳動脈硬化性変化はある場合もない場合もあります。塞栓源の多くは心臓特に左心房や左心室にできた血栓です。その原因として先天性心疾患、リウマチなどによる心弁膜症、感染性心内膜炎、心筋梗塞や心房細動があります。この様な時には心臓内の血液が乱流や停滞して血栓が生じやすくなります。最近の剖検例では心房細動に伴う脳梗塞が多く見られ、高齢化社会を迎えその重要性は増すと思われています。塞栓は通常左心室から流出するので脳に向かう4本の動脈のどの流域にも流れていく可能性があります。左右両側性に、あるいは内頚動脈領域と椎骨動脈領域に同時に発症することもあります。脳内に特定の好発部位はありません。即ち、多発性に梗塞巣が発生する可能性があります。動脈を閉塞した塞栓は急性期に融解して移動し患部の血流が再開されることがあります。この様な場合には塞栓によりすでに壊死に陥っている部の血流が再開して出血が起こることがあります。これは出血性梗塞と言われ皮質に見られることが多いです(図11)。

      3. ラクナ(lacunar)
         ラクナは剖検脳の割面に見られる脳深部の小空胞を意味する病理学的用語として用いられてきましたが、ラクナ梗塞とは単一の穿通枝領域の1.5cm以下の陳旧性嚢胞性梗塞のことです。これは多発することが多く、1/3が被殻に、ついで橋(図12)、視床、尾状核、内包などに見られ、不整形の腔を持ち血管を含むものもあります。穿通枝の動脈硬化が原因と考えられています。

      4. その他の脳梗塞
         上記の3病型に該当しない脳梗塞として、脳動脈解離、脳静脈洞血栓症、もやもや病、血管炎、薬物などが挙げられています。
        症状の発現は、血栓症では初期発作→進行期発作→完成期発作と症状が徐々に出現し、数時間から数日間の経過で進行していきます。塞栓症では初期発作→完成期発作というように突然症状が出現し数分で完成することが多いです。


    3. 脳梗塞の分布
       大動脈から大脳動脈輪までの間の主幹動脈の閉塞は、半数以上が頚動脈の閉塞であったとの報告があります。皮質枝領域の梗塞ではその動脈が支配している皮質が運動機能を担っていれば、その機能範囲の単麻痺を生じます。中心枝領域の梗塞で随意運動の神経線維(錐体路)の束が走っている内包部分に障害が波及すれば一側の片麻痺を起こします。左右の錐体路は延髄でその多くの神経線維が交叉をします。そのため大脳の病変側と症状が出る側が逆になります。大脳の病変が右側であれば、体の左側の麻痺が起こります。左側の病変では右側の麻痺が起こりますが、右利きの人では大脳の優位半球は左になり、言語中枢も左に存在するため、言語障害の起こることもあります。
       内頚動脈末梢部で塞栓性閉塞が発生したり、内頚動脈と外頚動脈の分岐部に血栓形成がある場合、眼動脈などの側副血行路からの血流が保たれ症状を示さない場合もあります。しかし血圧の低下などが起こると血行力学的性機序で梗塞を起こすこともあります。
       前大脳動脈領域は前交通動脈によって左右の前大脳動脈が吻合しているため、梗塞は起こりにくいとされています。
       中大脳動脈の領域は最も梗塞の起こりやすいところです(図13)。中大脳動脈の起始部で完全閉塞が起こると大脳皮質と髄質そして基底核・内包などもすべて壊死に陥ります。基底核部のみが梗塞に陥る時は中心枝の起始部の閉塞が原因です。中大脳動脈が中心枝を出したあとで閉塞した場合は大脳皮質や髄質に梗塞が起こります。中大脳動脈の閉塞は塞栓によるものも多く、まず中大脳動脈の起始部で閉塞して貧血性梗塞を起こし、次いで塞栓が移動して末梢に到達し大脳皮質などを壊死に陥らせます。この時基底核部は開通した動脈や周囲からの血液の流入によって出血性梗塞となることがあります。
       後大脳動脈領域では中心枝の閉塞で視床梗塞を起こします。また頭蓋内圧亢進症状があると海馬鈎ヘルニアに伴って、後大脳動脈皮質枝の出血性梗塞をしばしば認めます。
       頭蓋内椎骨動脈領域では脳底動脈にアテローム硬化症をよく認めます。狭窄・閉塞部位によって延髄・橋・中脳などの脳幹や小脳に梗塞を認めます。橋のラクナはこの脳底動脈の橋枝の閉塞によって起こります。


    4. 脳梗塞の病理学的所見
       種々の病変は病変そのものだけで形成されるのではなく、その病変で生じた組織の変化を修復しようとする周囲組織の動きも大きな要素となります。
       梗塞性病変は局所の血流が途絶えて組織が壊死に陥り、周囲組織がその修復を行うことで病変の形態が完成されます。そのため病初期では病的変化がはっきりしません。これが同じ循環障害性病変でも出血性病変と大きく異なるところです。
      1. 肉眼的所見
         発症から6時間以内では変化が明らかになりません。12時間目では皮質と髓質の境界が不明瞭となります(図14)。2−3日目で浮腫状境界が明らかとなり場所占拠性病変(space occupying lesion SOL)となります。5−7日目で浮腫が消退して壊死組織の融解が始まり、10−14日で融解壊死のため次第に嚢胞状となります。3週間以降では限局性嚢胞状となりこの病態が終生保持されます(図15)。

      2. 組織学的所見
         発症から6時間以後で初めて神経細胞の断血性変化が出現し、24時間後には病変部に多核白血球の浸潤が見られます。5−7日目では組織の壊死に対して血液単球細胞由来の組織球(格子状細胞ともいう)の出現があり壊死物質である脂質を取込みます。周囲の残存神経組織では脳の支持細胞の1つである星状膠細胞の増生などの反応が出現します(図16a,b)。3週間以降では壊死組織の融解壊死がさらに進行して嚢胞化が明らかになり、嚢胞壁は星状膠細胞の線維がグリア瘢痕を形成します。以上が脳梗塞の一般的な経過の病理所見です。


    5. 脳組織の特徴
       なぜ脳梗塞ではこの様な軟化空洞を形成して病変が修復されたことになるのでしょうか。それは脳組織を構成している細胞の性質によります。個体を構成している体細胞は増殖能と分化能を基準に不安定細胞・安定細胞・永久細胞の3群に大別することができます。
       不安定細胞といわれるものには常に更新されつつある組織の細胞で血液細胞、皮膚、消化管粘膜細胞、子宮や尿路系細胞などが含まれ、骨髄組織にもこの型の細胞が含まれています。
       安定細胞はすべての分化を完了して機能発現を行っており、通常はごく少数の細胞が分裂増殖をおこなっています。しかし何らかの刺激が加わると急に増殖を開始する細胞群で、主なものに肝細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、末梢神経などがあります。
       永久細胞といわれるものは生涯を通じて極めて安定かつ恒常的に維持される組織・細胞で一般的に分裂や増殖は起こらないとされ、これには神経組織と骨格筋や心筋細胞が含まれます。
       この様に中枢神経組織はその高度に分化した脳機能のため、一度壊死に陥り脱落した組織は元に戻ることができません。そのため脳梗塞の病巣は軟化嚢胞として生涯残ることになります。


    6. 最近の動向
       新しい治療法である発症3時間あるいは6時間以内の中大脳動脈閉塞-脳塞栓症に対する局所線溶療法の効果を多施設共同無作為比較試験で検討する臨床試験が行われ、現在その解析が進んでいます。MELTとは、Middle Cerebral Artery Embolism Local Fibrinolytic Intervention Trial(中大脳動脈閉塞-脳塞栓症に対する局所線溶療法)の略です。脳虚血時の脳組織の機能障害や細胞死についての実験的研究から、神経細胞の活動性消失と細胞死の間には解離があることが判明してきました。脳梗塞の超急性期(発症後6時間以内)には血栓や塞栓などによる脳血流量の著明な低下によってすでに細胞死に陥っている虚血中心部(ischemic core)と、その周囲に細胞機能は抑制されているけれどもまだ細胞死には至っていないペナンブラpenumbra(半陰影部、可逆的虚血領域)といわれる領域があります。ペナンブラとは日食の際の半陰影部を意味しており、脳虚血中心の壊死部の周囲に存在するためこの名称が提唱されたようです。ペナンブラが存在するのは梗塞周辺部に周囲からの側副血行が入ってくるためと考えられています。しかしこの部は血流検査では低還流域で今後は脳梗塞に移行する可能性が高い領域で、ここの血流を保持させて脳組織の壊死を最小限に止めようとする治療法の1つが上記の臨床試験です。ただこの治療法には脳出血などを起こしてしまう危険性もあり、治療に適応しているかどうかの判断は専門の医師による必要があり、治療を行える施設も限られています。
       この治療法は一度壊死に陥った神経組織は再生できない、そのため壊死の範囲を極力減少させて神経機能の保全を試みるといったものです。

       一方、再生医療の観点から種々の幹細胞を用いた研究も始まっています。
       幹細胞は多分化能(種々の細胞に分化できる能力)と自己複製能(多分化能を維持しつつ増殖できる能力)を持つ細胞です。これには以下のものがあります。
       胚性幹細胞はES細胞ともいわれ受精卵の初期胚のみから樹立され、個体を形成するすべての細胞に分化しうる能力を持つものですが、取り扱いはきわめて慎重を期さなければなりません。体性幹細胞とは成体内にあり他の細胞系列にも分化転換しうる能力を持つものを言い、これらには造血幹細胞(白血病などで臨床応用が進んでいる)、間葉系幹細胞(骨髄幹細胞から誘導され骨細胞、軟骨細胞、筋細胞、脂肪細胞などに分化できる)、成体由来の多能性前駆細胞(multipotent adult progenitar cell,MAPC)(骨髄細胞から誘導されES細胞と同程度の多分化能を持つ)があります。これは神経細胞(外胚葉)・肝細胞(内胚葉)・血液細胞(中胚葉)に分化すると言われており、自己組織による再生医療の可能性を秘め、最も研究が進んでいる分野でもあります。一方、その臓器内に幹細胞が存在するとされる臓器に脳組織や肝臓などがあります。神経幹細胞は脳室周囲に存在することが示唆され、また肝幹細胞も肝組織の中にあると言われています。
       自己の体内にある幹細胞の利用は拒絶反応も発生しないので多いに期待されるところではあります。しかしまだ研究段階のものが多く実際に医療現場で利用できるのは限られて範囲のみのようです。今後の発展が望まれる分野です。